「腰が抜けそうな感じがする。」「痛くなりそうな気がする。」
痛みは主観的な感覚です。
ですから、施術の際は推測するしかありません。
そのヒントの1つが、患者さんの訴える痛みの感覚の表現です。
どのような表現の痛みなのかから痛みの種類を推測します。
時には「腰が抜けそうな感じがする。」「痛くなりそうな気がする。」と表現されることがあります。
決して珍しい訴えではありません。
体の痛みには、病名のつかない症状と言うものがあります。
「腰が抜けそうな感じがする」「痛くなりそうな気がする」と言うのもその一つです。そのような状態を「疼痛性症候(とうつうせいしょうこう)」という言い方をすることがあります。
固くなった筋肉と血流の悪くなった筋肉による痛みです。
不良姿勢や心因性(ストレス)由来のものなど原因は様々で、一概には原因を特定できないものです。
「持続的筋収縮」と「微小循環障害」
何らかの原因で持続的収縮が続くと、その周囲は微笑血管の圧迫により循環障害を起こします。循環障害は酸素供給不足-酸欠の状態で乳酸を蓄積します。
乳酸の蓄積は、水素イオンの蓄積なので局所的に発痛物質ブラジキニンやプロスタグランジンが発生され疼痛閾値が低下します。
硬くなって血流の悪くなった筋肉は、酸欠を起こします。そして、痛みを感じやすくなります。
鍼による鎮痛効果は、痛みを感じにくくします。
疼痛閾値の上昇は自己疼痛抑制機構の賦活によることが知られています。
「腰が抜けそうな感じがする」「痛くなりそうな気がする」と言う症状に鍼をすると、痛みや体の動きが変化をします。ときには、びっくりするほど変化をします。
変化をするというよりも、おそらく、本来あるべき状態に近づいたと言えるのだと思います。